
詰め物が取れた!
「食事中にガリッと音がして、気づいたら詰め物が取れていた」「舌で触るとザラつきや穴を感じる」——そんな体験をされたことはありませんか?詰め物(インレーやアンレーなど)が外れてしまうと、ご自身では元に戻すことはできません。放置してしまうと、詰め物が取れた箇所から虫歯が再発したり、歯に痛みが出たり、歯が欠けたりといったさらなるトラブルにつながる可能性があります。
また、詰め物が取れた部分の下では、知らないうちに虫歯が進行していたり、歯が破折していたりすることも少なくありません。違和感をそのままにしておくのではなく、早めに原因を突き止めて適切な処置を行うことが大切です。ここでは、「詰め物が取れた」という症状に焦点をあてて、その原因、検査・診断、治療法などについて解説します。
詰め物が取れる主な原因
詰め物が取れてしまうのには、以下のような原因が考えられます。
- 接着剤の劣化:時間の経過とともに、詰め物を固定している接着剤が劣化し、粘着力が弱まることで外れやすくなります。
- 二次虫歯の進行:詰め物と歯の隙間から虫歯が再発し、土台が崩れることで詰め物が支えを失い脱落するケースがあります。
- 歯ぎしり・食いしばり:強い力が繰り返しかかることで、詰め物がずれて取れてしまうことがあります。
- 食事中の衝撃:硬いものを噛んだときの衝撃で詰め物が外れることがあります。
- 歯の破折:歯自体が割れたり欠けたりしていると、詰め物が保持できなくなります。
詰め物が取れたときの主な症状
詰め物が取れてしまうと、歯の内部がむき出しになることでさまざまな違和感や不快感が生じます。まず感じるのが、「舌で触れたときのザラザラ感や穴の感触」です。特に冷たい飲み物がしみたり、食べ物が詰まりやすくなったりといった症状がよく見られます。また、外れた部分が鋭くなっていると、舌や頬の粘膜を傷つけてしまうこともあります。
放置しておくと、外れた部分から再び虫歯が進行する可能性が高く、場合によっては歯の神経まで達し、強い痛みや根管治療が必要になるケースもあります。
こんな症状ありませんか?
- 食事中に詰め物が外れてしまった
- 歯に穴があいていて、舌で触ると違和感がある
- 冷たいものや甘いものがしみる
- 詰め物が外れた部分に食べ物がよく詰まる
- 舌や頬が詰め物の取れた部分にあたって痛い
- 以前治療した歯から異臭がする
これらに該当する場合は、なるべく早く歯科を受診しましょう。
詰め物が取れた場合の検査・診断
詰め物が取れた場合、歯科では以下のような検査を行います。
- 視診・触診:取れた部分の状態を直接観察し、歯の表面や周囲組織の異常がないかを確認します。虫歯の有無や、歯の破折・欠けなどがないか、器具を使って丁寧に触れて検査を行います。
- レントゲン検査:目視では確認できない歯の内部構造を映し出すことで、虫歯の深さや広がり、詰め物の下に隠れた虫歯、歯根の状態、さらには骨の健康状態までを詳しく確認することができます。
- 噛み合わせのチェック:詰め物が取れた原因のひとつとして、特定の歯に過剰な力がかかっていることが考えられます。上下の歯の接触関係や噛み合わせのバランスを確認し、不適切な力の集中がないかを丁寧に調べます。
これらの検査結果をもとに、詰め物が取れた原因を特定し、最適な治療法を判断します。
疑われる潜在的病状
詰め物が取れること自体は疾患ではありませんが、背景に以下のような病状が潜んでいる場合があります。
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- 二次う蝕(虫歯の再発):以前治療した歯と詰め物の境目から再び虫歯が発生することがあります。詰め物の内側で進行することも多く、気づいたときには大きく広がっている場合もあるため注意が必要です。
- 歯根破折:歯の根の部分にヒビや割れが入っている状態で、噛んだときの違和感や痛みとして現れることがあります。破折の位置や程度によっては、抜歯が必要になる場合もあるため、早期発見が重要です。
- 咬合異常:噛み合わせのバランスが乱れていることで、特定の歯に過剰な力が集中しやすくなります。このような力の偏りは詰め物に負担をかけ、脱離や破損のリスクを高める要因となります。
- 歯周病:歯を支える歯ぐきや骨が炎症によって徐々に破壊されることで、歯が動揺しやすくなり、詰め物の安定性が低下します。特に歯茎が下がると詰め物の境界が露出し、二次虫歯や脱離の原因になることもあります。
詰め物が取れた場合の治療
詰め物が取れた場合に行う治療は、その原因や歯の状態、詰め物の損傷状況、そして歯を支える歯茎や周囲の組織の健康状態などを総合的に判断して決定されます。
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- 再装着:詰め物自体に破損がなく、歯の形や状態にも大きな問題が認められない場合は、洗浄と消毒を行ったうえで、元の詰め物を再び接着することが可能です。詰め物を保管しておくことで、治療期間や費用を抑えられることがあります。
- 新たな詰め物の作製:虫歯が再発していたり、詰め物の下に汚れがたまっていたり、歯の形が変化して再接着が難しい場合には、再度患部を丁寧に削り直したうえで、新しい詰め物を精密に作製します。素材や形状は患者さんの歯の状態やご希望に応じて選択され、再発予防と機能性・審美性の両立を目指した治療が行われます。
- 根管治療(神経の治療):虫歯が歯の内部にある神経(歯髄)まで達している場合には、感染した神経を除去し、根の中を丁寧に洗浄・消毒したうえで薬剤を詰めて密閉する治療が行われます。この処置により、歯を残すことが可能になるケースも多くあります。
- クラウン(被せ物)治療:歯の損傷が大きく、詰め物では補えない場合には、歯全体を覆うクラウンで補強・保護します。クラウンは歯の形や色を再現しつつ、噛む力に耐えられるように設計されており、機能性と審美性の両方を兼ね備えた治療法です。
- 抜歯と補綴治療:歯の保存が難しいほど状態が悪化している場合には、抜歯を行い、その後ブリッジ、インプラント、または義歯などによって歯の機能と見た目の回復を目指します。患者さんのご希望やお口全体の状況を考慮しながら、将来的な健康維持にもつながる最適な補綴方法を選択します。
「詰め物が取れただけだから」と軽く考えて放置してしまうと、その部分から虫歯が再発したり、歯の内部に炎症が広がったりして、より大がかりな治療が必要になることがあります。取れた詰め物は清潔な状態で保存し、なるべく早めに歯科へ持参して診察を受けることが、症状の悪化を防ぐためには非常に重要です。
また、普段から定期検診を受けることで、詰め物の劣化や虫歯の再発などを早期に発見することができます。当院では、詰め物が取れた原因を丁寧に診断し、再発を防ぐための予防的なケアもご提案しています。違和感に気づいたら、お早めにご相談ください。






